オックスフォードな日々

とあるオックスフォード大学院留学生のブログ

アメリカ学部留学1 同じスタート地点に立つために APとCLEP

アメリカ人は数学ができないって本当?

これからアメリカの大学に学部留学を考えている人、或いはしている人にまず一言。

あなたはアメリカの大学の授業内容を聞いて、「日本だったら高校レベルだよ。」とか思ったことがありませんか。そんな人の多くは二つの大切なことを見落としています。一つ目は、アメリカの高校生もある程度の学生であれば”その高校レベル”の事を、日本と同じように高校でやっているということ。二つ目は、例えば微分を学び始めるCalculus I、積分が入ってくるCalculus II、その応用を学ぶCalculus IIIこれらのクラスに、「頭がいい」といわれる人は、そもそもいないということ。どういうことかというと、アメリカの高校生で出来る人は皆、大学に入るまでにAdvanced Placement (AP) コースと呼ばれる大学レベルのコースを既に履修して単位認定を済ましているからです。

僕はオレゴン州の高校に留学した時にAP CalculusとAP Physicsを履修しました。そして、そのどちらのクラスにも日本の高校1年生に相当するSophomoreから3年生に相当するSeniorまで数多くの生徒がいました。こういう経験から、一般的に言われる「アメリカ人は数学ができない。」とか言うのは必ずしも正しい表現ではなく、アメリカでは単純に出来る人とできない人との差がとてつもなく広くて、平均で見ると日本よりもだいぶ劣って見えてしまうだけ、という風に僕は考えています。

APコースを履修した学生は、学年末にAP試験という全国統一の試験を受け、そこで一定の成績を納めれば高校生のうちから大学の単位を取ることが出来る仕組みになっています。そんなこんなで、数学がある程度出来るアメリカ人なら誰もがCal I、Cal IIは当然のこと、得意な人であればCal IIIも稀にその次のdifferential equationの単位でさえも履修済みの段階から大学が始まります

そしてこれは数学に限ったことではなく、英語、物理、化学、生物などどの教科においても同じ事です。だから、アメリカの大学の低学年レベルのコースに出来る人がいれば、むしろそれが驚きなくらいなのです。だからそんな出来ないアメリカ人を見て、「アメリカ人、ホント数学できないよね。」とか「日本の高校レベルのことを大学でやってるよ。」などと言うことは、完全に的外れなのです。そんな風にあなたが井の中の蛙でいるうちに、同世代のできるアメリカ人たちは2年間で大学を卒業して次のステップに進んでいっています。それが現実なのです。これからアメリカに留学する日本人の学生たちには初めからこのことを知っておくべきだと考えています。

 

日本の高校に在籍しながらも彼らに遅れを取らないためには

もしあなたが競争心があって挑戦するタイプの人間であれば、この話を聞けば「自分もそんな“高校レベル”のコースなんて履修したくない!」と思うことでしょう。APの仕組みを持たない日本の高校を卒業した日本人は、アメリカの“出来る人達”と同じスタート地点に立つことが出来ないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。

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例えば、アメリカの多くの大学で導入されている単位認定試験として、CLEP(College Level Examination Program)というものがあります。CLEPは日本でも、東京にあるTemple Universityで受験することができます。これを活用して、アメリカの高校でAP試験で単位を既に持っている学生たちと同じスタート地点に立ちましょう。CLEPの参考書も、日本のamazonでも検索すれば沢山出てきます

僕 の場合は、高校留学時に受けたAP試験でCalculus I (4単位)とUniversity Physics (4単位)の単位を認定してもらい、CLEPでUniversity Chemistry I/II (8単位)、Economics(4単位)を認定してもらいました。

参考までに僕のやったCLEPの勉強方法は、
– ChemistryはCLEPの公式サイトからstudy guideを入手して、”Chemistry: Concepts and Problems: A Self-Teaching Guide (Wiley Self-Teaching Guides)“という本一冊を一週間程度復習しました。
– Economicsはyoutubeのレクチャー動画を3日間かけて見続けただけでパス出来ました。今ならCourseraなどで受講してから受けてみるという手もあるかと思います。

 

CLEPにない単位でも自信があるのなら裏ワザも

ただ一つの問題点は、APにあってもCLEPには無い科目、大学が認定してくれない科目もいくつもあるということです。その場合は渡米した後に、勇気を出して学部に直接交渉しに行きましょう。僕 は実は高校ではなく、高専を3年間通って高校卒業認定を貰ってアメリカの大学に進学したため、専門の科目を既にいくつも履修済みでした。それを無駄にはし たくなかったので、学部の窓口で各コースのシラバスと担当教授の名前を入手し、自分の学んだことと照らし合わせてから直接各教授のもとへ交渉しに行きまし た。認定のために提示された条件は基本的には、そのコースに必要な課題を提出し期末試験問題を受けて自分の能力を証明する事でした。そんなこんなで、最終的にはCLEPとAPも含めると34単位が認定され、まるまる一年分の省略が可能になりました。これで漸く、アメリカ人の出来る人達と同じスタート地点に立てたわけです。

この柔軟性こそアメリカ大学の魅力かな、と思っています。加えてどのタームでも単位数を限界まで詰めてとっていたため、結果コンピュータサイエンスを2年目で修了できる事になってしまいました。これがあったからこそ、「研究者へのステップとしての学部留学のススメ」で書いた心理学との「ダブルディグリー」も可能になって今があると思っています。

研究者へのステップとしての学部留学のススメ
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これからアメリカ留学を考えている高校生の皆さん、或いはもう渡米するばっかりの皆さん、もう渡米してしまった皆さん、是非単位認定を挑戦してみましょう。

ア メリカ人でも「日本の高校レベルのこと」を高校でやっている人は数えられないほどいます。これから世界での活躍を目指す皆さん、あなたの同期のライバルは 1年生レベルのクラスにはほとんどいません。だからそれを見て落胆するのは間違っています。この記事が、皆さんがスタート地点から本当のライバルと肩を並 べられることの手助けになればと祈っています^^

 

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著者紹介:

高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^

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Aki • 2013年4月14日


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Comments

  1. ブルン 2013年4月14日 - 7:04 AM URL

    1. なるほど
    留学と言うと、日本ではまず英語のハードルをクリアすることばかり語られますが、学ぶ内容のシラバス、大学の単位認定の仕組みをしっかり理解することは大事ですね。(熟知できていれば交渉の余地だって生まれる!イギリスの大学もそういう面がありそうです。)

    これからの人にとても参考になるアドバイスだと思います。私もAPやCLEPのことをよく知らなかったので興味深く読ませてもらいました。

  2. Aki 2013年4月14日 - 7:05 AM URL

    2. Re:なるほど
    >ブルンさん
    そのご指摘はとても重要なことだと思っています。留学をする人にとって英語はあくまでもツールでしか無いという認識を持っているべきだと僕は思っています。行けば皆聞けるように喋れるようになるのですから、少なくとも日本にいるうちは他にも沢山やるべきことがあるのでは・・と感じてしまいます^^;

  3. かなこ 2013年4月15日 - 7:05 AM URL

    3. 無題
    そうだったんですね!
    アメリカの学生は本当に高校数学をやらないのかと疑ってきましたが、まあ、そんなわけないですよね。^^

    今後の参考にさせていただきたいと思ってます!

  4. Aki 2013年4月16日 - 7:05 AM URL

    >かなこさん
    アメリカに留学している人でさえ勘違いしている人もいるくらいですから^^;
    ただ、出来る人とできない人の差が激しいことは実感しました。下を見ればいくらでも自分より出来ない人はいますが、上を見ればこれもまた結構いるものです。どうせならいつも上を見て、そういう人たちをライバルに頑張りたいものですよね^^

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