オックスフォードな日々

とあるオックスフォード大学院留学生のブログ

【読書記録】パラレルワールド・ラブストーリー (東野圭吾)

もう忘れたい。はじめっから、彼女は僕の恋人なんかじゃなかった、そういうことにしたいんだよ。そうしなきゃ、これから先も生きていけそうにない。… 記憶は時には人を縛るものなんだよ。今、僕を苦しめているのは記憶なんだ。それを取…

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【読書記録】日の名残り(カズオ・イシグロ著, 土屋政雄訳)

なあ、あんた、わしはあんたのいうことが全部理解できているかどうかわからん。だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っとるよ。いいかい、いつも後ろを振り向いていちゃいかんのだ。後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。…

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【読書記録】アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス著, 小尾芙佐訳)

知能だけではなんの意味もないことをぼくは学んだ。あんたがたの大学では、知能や教育や知識が、偉大な偶像になっている。でも僕は知ったんです、あんたがたが見逃しているものを。人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打…

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【読書記録】異邦人(カミュ著, 窪田啓作訳)

君は死人のやうな生き方をしてゐるから、自分が生きてゐると云ふことにさへ、自信がない。私はと云へば、兩手は空つぽのやうだ。しかし、私は自信を持つてゐる。自分について、すべてについて、君より強く、また、私の人生について、來る…

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【読書記録】セザンヌ物語(吉田秀和)

セザンヌの芸術は、きびしい芸術である。そのきびしさは、彼の才能の限界というより、彼が、マネやモネや、ルノワールのように、自分の天才を信じ、それに導かれながら制作するというのではなくて、「絵は結局自分のテンペラメントの表現…

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【読書記録】ねじまき鳥クロニクル(村上春樹)

「かわいそうなねじまき鳥さん」と笠原メイは囁くように言った。「きっとあなたはいろんなものを引き受けてしまうのね。知らず知らずのうちに、より好みすることもできずに。まるで野原に雨が降るみたいに」… …あなたは自分を空っぽに…

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【読書記録】宇宙を目指して海を渡る(小野雅裕)

僕にとって、生きることとは宇宙を目指すことだ。この人生において宇宙開発の歴史に残る大きな仕事をしたい。だから僕は海を渡った。 夢を目指して頑張った、と言えば聞こえが良かろう。だが実際は、夢に取り憑かれていた、と言う方が正…

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【読書記録】蝶の生活(F. シュナック著, 岡田朝雄訳)

この蝶の羽には眼がついているが、これらの不思議な深淵のような眼は、内側の黄色みを帯びたアーチ型と、外側の青黒色の三日月形に嵌めこまれている。明るく輝く涙のしずくが暗い瞑想的な眼から真珠のようにこぼれ落ちている。 これは伝…

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【読書記録】花のきもの(宮尾登美子)

考えてみれば、この着物ほど十分役割を全うしたものはなく、ある農家の一軒で繭から糸、反物になったのち、その家の娘の着物となって十いく年、よくよく愛用されたあと、また元の家に戻って嫁の手で再生され、末路は蒲団、ハタキとなって…

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【読書記録】天空の蜂(東野圭吾)

絶対に落ちない飛行機があるかい?ないよな。毎年多くの死者が出ている。それに対して、おまえたちのできることは何だ?落ちる確率を下げていくことだろう。だけどその確率をゼロにはできない。乗客はそれを承知で、その確率ならば自分は…

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【読書記録】新生(ダンテ著, 平川祐弘訳)

私にはもう二度とあの女性を見ることはないのだ。 心は苦悩に暗く疼く、あまりに苦痛が心臓を圧しつけるから、 言わずにいられない、「わが魂よ、何故お前は立ち去らないのか? この煩わしい現世でお前が忍ばねばならぬ苦痛は既に度を…

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【読書記録】車輪の下 (ヘルマン・ヘッセ著, 実吉捷郎訳)

だれひとりとして、このやつれた童顔の哀れな微笑のうらに、沈みかけた魂が悩んでいるのが、そしておぼれようとしながら怯えて絶望的にあたりを見回しているのがみえなかった。そしてまた誰ひとりとして、学校と父親や二三の教師たちの野…

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