オックスフォードな日々

とあるオックスフォード大学院留学生のブログ

【読書記録】白夜 (ドストエフスキー著, 小沼文彦訳)

51N3-2bE0TL._SS500_

しかし、ナースチェンカ、侮辱されたことをいつまでも根に持つ私だろうか?君の晴れ渡った平穏無事な幸福な生活に、暗雲を吹き送るような私だろうか、激しい非難の言葉を投げつけて、君の胸を哀愁に閉ざさせ、ひそかな良心の苛責で君の胸を傷つけ、至上の喜びの瞬間にやるせない想いで胸をどきつかせるような私だろうか、君と並んで祭壇に向かって進む時、君がその黒髪に編み込んだ、あの可憐な花の一つでも、もみくちゃにするような私だろうか…。おお、決して、決してそんなことはしやしない!君の心の空のいつまでも晴れやかであらんことを、君の美しい微笑のいつまでも明るく、平穏無事であらんことを、そしてまた法悦と幸福の瞬間に君の上に祝福のあらんことを。それは君がもう一人の孤独で、感謝にあふれたハートに与える幸福でもあるのだ!

ああ!至上の法悦の完全なひととき!人間の長い一生に比べてすら、それは決して不足のない一瞬ではないか?…。

期待外れかと思いきや最後で血が通った。そう、このやり場のない苦しみと叫び。論理の中にしか生きられないロマンチスト。「君の幸せは僕の幸せ」という論理で、月を見て約束したはずの君と他の男との未来を祝福し、私は故に幸福だと泣き叫ぶ自虐的な昇華。感傷的ロマン。


著者紹介:

高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^

follow on facebook follow on line
follow via RSS follow us in feedly Subscribe with Live Dwango Reader

Aki • 2014年4月7日


Previous Post

Next Post

コメントを残す

Your email address will not be published / Required fields are marked *