【読書記録】新生(ダンテ著, 平川祐弘訳)
私にはもう二度とあの女性を見ることはないのだ。
心は苦悩に暗く疼く、あまりに苦痛が心臓を圧しつけるから、
言わずにいられない、「わが魂よ、何故お前は立ち去らないのか?
この煩わしい現世でお前が忍ばねばならぬ苦痛は既に度を越した、
それを思うと私は不安でたまらぬ」
なにとぞゆっくりとした甘美な休息につかせてくれ、
だからわたしは死の女神を愛をこめて呼ぶ、
「お願いだ、私のところに来てくれ」と。
死ぬ人が羨ましい、誰であれ、わたしには。
19歳のベアトリーチェに愛の神アモーレはダンテの心臓を食わせた。そして彼は彼女の中に全ての淑女の理想を見た。それは恐らく彼の都合の良い妄想の産物。彼女は24でこの世を去った。彼は嘆き苦しみもがき狂ったが、しかしその死が彼女を永遠の淑女にさせた。滑稽だけどこうする事で彼は救われた。
著者紹介:
高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^




