【読書記録】The S.O.U.P. (川端裕人)
時々、インターネット全体がひとつの脳ではないかと思うことがあるよ。論理的なレヴェルではインターネットで繋がれたコンピュータの複合体は、超絶的な処理能力を持ったスーパー・スーパー・コンピュータと同等だ。
..人間の意識とは、脳の量子状態なのだという仮説があるだろう。もしも、本当にそうならインターネットで繋がれたコンピュータや幹線の量子状態は、ひとつの意識なんだろうか。一貫した自意識を持っているとは思えないが、赤ん坊がまどろみの中で見るような夢をインターネットは見ているのではないだろうか。
..インターネットはひとつの巨大な脳だ。浅い眠りの中で、夢を見続ける脳だ。
半導体回路上の0か1の電荷の情報が、コンピュータを通じて論理空間を構成する。そして、脳中のニューロン結合をイメージして設計されたそれらのネットワークが、より広大な空間に意識を産み落とし、そこにもう一つの世界が生まれた。「情報量が稠密になっていくと、それまでディジタルな記号にすぎなかったものが、リアルなものとして立ち上がる瞬間がある」その世界は『見た目は似ているが、本当は違う』と定義され、また一方で『見た目は違うが、本質的には同じ』とも定義されるような未だにまどろみの中にある世界。しかし人間の心が心たりえる「繋がり」というリアリティはもう確実にそこにはあった。そんな世界を舞台にした、情報社会において神でも悪魔でもありうるハッカー達による創世記。
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著者紹介:
高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^