【読書記録】虎の城〈上下〉(火坂雅志著)
咲いた花は、いつか枯れるものだ。人は、いつか枯れるとわかっている花を咲かせるために、汗をかいて土を掘り起こし、せっせと水をやる。人間の一生も、そんなものだ。
虚しさがわかっていてなお、生きる戦いを続けねばならぬとは、世の中はなんと辛いものでありますことか。
辛いからこそ、おもしろい。わしは、自分の一生を虚しいと思ったことは、一度としてなかったぞ。…
目の前にあるものにしがみつこうとするから、人は苦しい思いをする。常ならぬことが世の中の常であると悟れば、心が楽になるであろう。
「勝ってもおごらず、敗北しても屈せず、失敗から必ず何かを学び取っていく姿勢」、それを信じて曲げず、必死に生きた者が最後に天下を手にした。「世が悪いなどというのは敗者の言い訳」「世のほうを力でねじ伏せ道を切り拓いていくのがまことの漢というもの」その一心で武功を積み上げてきた高虎の生き方を、秀長の存在が変えた。不安と苦痛を噛み締めながらも常に未知の領域へ足を踏み出していくことの価値を彼から学び、そして激動する時代を全身傷だらけになりながらも信義の下に戦い続け、ついに泰平の世が花開いた。多くの書では生涯のうちに幾度も主君を替えた高虎は否定的に描写されるが、著者はそれは誰しも抗うことのできない天命によるものだったと明かしていく。戦国時代の結末、信長、秀吉、家康による天下統一の舞台裏の人間ドラマの数々を、そんな一人の男の人生の物語を通じて克明に描き切った大河小説。
著者紹介:
高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^