【読書記録】あしたのロボット(瀬名秀明)
ロボットというのは、希望の装置なんだと思っています。それは挫折と表裏一体です。希望をいだかせるからこそ、常に挫折感が残る。つくった側も、使った側も、常に無念さを味わう。..今はだめだろう、でも次の時代には、次の時代にはってね。それは幻想だと思いますよ。でもね、そこを夢見ることができない時代なんてどうしようもない。希望があるからこそ我々は挫折を克服できるんじゃないですか。ロボットはその力を気づかせてくれる..これからはそれしかないんだろうと思います。..ロボットの研究者は、未来のことを考え続けていてください。中途半端じゃ駄目です。一所懸命に考えてください。それがあなた達の使命なんだ。多くのことは実現しないかもしれない。でもその努力を続けることが、今という時代を未来の希望に近づけるんです。あなた達の分野だけじゃない。この世界を、世界全体を、未来の希望に近づける。それくらいの力があるんです。一歩ずつ。ほんの少しずつ。
この一冊には、ロボット研究者たちの夢が詰まっている。好奇心に満ち溢れ驚きの心を行動に移す力が有り余っていた恐れ知らずな少年少女たちの抱いた夢が。遠い未来、荒れ果てた地でロボットが星空を眺めながら問う。「なぜヒトは、好奇心を持つ心を設計し、自分たちロボットにそれを託したのだろうか」と。時の流れとともに忘れ去られてしまったそんな夢の記憶を集めるため、ロボットは旅に出る。そして、一つ一つ発掘される物語。咲いた夢、散った夢。舞った夢、逝った夢。それらは後悔や挫折の風雨に晒され今にも消え入りそうな蝋燭の灯、だけど決して消えない灯火。希望を信じて笑って小さな感動に涙して、そしてその夢がいつの日か吹くことを信じて生きた人々の記憶がそこにはあった。大好きな一冊
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著者紹介:
高専在籍時にAFSの53期生としてアメリカのオレゴン州で一年間地元の高校に通う。帰国後アメリカのアーカンソー大学フェイエットビル校に編入し2011年に理学士コンピューターサイエンス、2012年に教養学士心理学を修了。2012年秋よりオックスフォード大学にて、博士号課程で計算神経科学を勉強中。色々と大変ですが、常に色んな事に挑戦しながら精一杯頑張ってます。
詳しくは自己紹介ページよりどうぞ^^




