オックスフォードな日々

とあるオックスフォード大学院留学生のブログ

【読書記録】留学・爾もまた (遠藤周作)

家も路も教会も石の集積だし、その石の一つ一つの歴史の重みがある…。長い長い間の重みがある。巴里にいることは、その重みをどう処理するかという生活の連続です。 この国に来る日本人には三種類ある…。この石畳の重さを無視する奴と…

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【読書記録】分身 (東野圭吾著)

存在しなくても良かったのかと問われると、泣きたくなるくらい困ってしまう。こんなに苦しまねばならないのなら生まれてこないほうがよかった、という思いはたしかにある。だが一方では、私はうつむいてかぶりを振っているのだ。ちっぽけ…

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【読書記録】ヴェネツィア 水上の迷宮都市 (陣内秀信)

ヴェネツィアのパラドックスは、ラグーナという水に囲われたそのものの環境の中に、全て外から運んだ材料で、とことんの都市空間を築き上げたというところにある。美しい都市をつくろうとする人間の意志を、これほどまでに強く感じさせる…

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【読書記録】オリヴァー・トゥイスト (チャールズ・ディケンズ)

着物次第で人間はどうにでもなる、とよく言うが、赤ん坊オリヴァー・トゥイストこそまさにその適例であった!これまではただ毛布がかけてあったから、彼は貴族の子供といってもよし、乞食の子供といっても良かった。どんな偉そうな人間で…

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【読書記録】手紙 (東野圭吾著)

人には繋がりがある。愛だったり、友情だったりするわけだ。それを無断で断ち切ることなど誰もしてはならない。だから殺人は絶対にしてはならないのだ。そういう意味では自殺もまた悪なんだ。自殺とは、自分を殺すことなんだ。たとえ自分…

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【読書記録】今夜は眠れない (宮部みゆき著)

ただそれが真実であるというだけで、すべての人に信じてもらえるほど、世の中甘いもんじゃない.. めったにない真実よりは、よくある嘘のほうが、ずっと生き残りやすいものだ 突然転がり込んできた5億円。そうして鈍い音を立てて動き…

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【読書記録】眉山(さだまさし著)

お前はきっつう言われて腹立つばかりかもしれんけどな、寺澤。ほらあ、言う方がもっと疲れるんぞ。目の前では耳障りのええことばかり言うて、陰でこそこそ言うのがお前らの時代のやり方かもしれんが、お龍さんはな、相手を思えば思うだけ…

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【読書記録】ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業(ニール・バスコム著, 松本剛史訳)

アメリカ文化がずっと称えてきたものは、プロスポーツ選手や映画スター、そして最近まではウォールストリートの金融家たちだった。だとすれば、科学やテクノロジー、工学や数学を勉強し、将来その道に進もうとする子供が少ないのもむりは…

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【読書記録】海辺のカフカ (上下)(村上春樹著)

ある種の不完全さを持った作品は、不完全であるがゆえに人間の心を強く引きつける――少なくともある種の人間の心を強く引きつける、ということだ。たとえば君は漱石の「鉱夫」に引きつけられる。「こころ」や「三四郎」のような完成され…

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【読書記録】虎の城〈上下〉(火坂雅志著)

咲いた花は、いつか枯れるものだ。人は、いつか枯れるとわかっている花を咲かせるために、汗をかいて土を掘り起こし、せっせと水をやる。人間の一生も、そんなものだ。 虚しさがわかっていてなお、生きる戦いを続けねばならぬとは、世の…

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【読書記録】蝉しぐれ (藤沢周平著)

人間は後悔するように出来ておる.. 流れ行く水のように、夜も昼も物の命は過ぎて行き、変化する、変わらないものがどこにあろうか.. きっとこういうふうに終わるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうから。はかない…

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【読書記録】The S.O.U.P. (川端裕人)

時々、インターネット全体がひとつの脳ではないかと思うことがあるよ。論理的なレヴェルではインターネットで繋がれたコンピュータの複合体は、超絶的な処理能力を持ったスーパー・スーパー・コンピュータと同等だ。 ..人間の意識とは…

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